子宮内膜症と向き合おう

子宮内膜症と向き合おう

子宮や卵巣などの女性の性器の病気は、その病気のつらさに加えて、病気に対する社会的な偏見や周囲の無理解に苦痛を感じる人が少なくありません。

 

患者さん本人も病気になったことを自分の責任のように感じ、人に言えない恥ずかしい病気と思い込み悩む人もいます。

 

最近ではネットや情報誌にも取り上げられることが増えてきたので、これがどんな病気か知る機会が増えてきました。

 

子宮内膜症は、子宮の内側を覆っている子宮内膜が、腹膜、庁の表面、卵管、支給の筋肉の部分など、本来あるべき場所でないところに広がって増えてしまう病気です。

 

子宮内膜と言うのは、月経の時に血液と一緒に出てくる組織で、卵巣ホルモンの働きで大きくなり、1か月たつと、剥がれ落ちて膣から排出されるという周期的な変化を繰り返しています。

 

しかし、お腹の中に入ってしまった子宮内膜は、月経が始まっても出ていく場所がありませんので、月経が起こると、血液と一緒に固まってしまい、周りの臓器を癒着させてしまうのです。

 

卵巣の中にできた子宮内膜症は、中に月経血をためてしまうので、卵巣嚢腫のようなチョコレートのう胞を作ります。子宮筋に広がった子宮内膜症は子宮腺筋症と呼ばれ、子宮筋腫と似たような状態になります。

 

子宮内膜症で一番つらいのは、痛みです。月経痛、排便痛、性交痛などです。そのほかにも不妊になりやすくなるということも女性にとっては辛いところです。

 

痛みと言うのは、本人しかわからないものです。月経痛がひどくても誰でもあるものだとか言われることがあります。

 

働いている女性では周囲の男性同僚にはわかってもらうことができず、職場で孤立してしまうこともあります。「ちゃんと治ってから仕事に来るように」という男性上司もいるようです。

 

この病気の難しいところは、簡単な検査では発見が難しいということです。不妊のリスク無く治療することが難しいことなどが挙げられます。

 

そのため、痛み止めで様子を見たり、漢方薬などで様子を見たり、と診察してもらった医療機関によって対応が異なることもあります。

 

つまり、子宮内膜症と治療方法は『これで必ず良くなる』と言えるものが無いのです。

 

病気の中には治療すれば感知できるものと、病気と同居しながら生活を考えなければならない慢性疾患とがあります。女性の病気に限らず、ポピュラーな病気の多くは慢性疾患に当たります。そのためこれらの病気とともに生きていくノウハウを知ることが大切なのです。

 

子宮内膜症も支給を取れば感知することは可能ですが、妊娠することはできなくなります。

 

妊娠する可能性を残しながら治療を考えるのでしたら、病気を抱えながら痛みをどうやって乗り越えるか、どの時点で手術に踏み切るかなどのことを自分の生活に合わせて考え、自分で医療を選んでいかなければならないのです。

 

大切なのは、病気になりたくてなったわけではないのですから、まず家族や親しい人に自分の病気をなるべく理解してもらえる努力をすることです。そして、治療方法を選ぶ時には自分はどうしたいか、自分の意志で選ぶことです。